突然大きな地震が起きたら、まず何をすれば良いか知っていますか?
「北海道胆振東部地震」とそれに伴う北海道全域ブラックアウトを体験したため、この機会にまとめておこうと思います。
今まさに大きな地震が起きて調べていたらこの記事にたどり着いた!という方は、今すぐに『揺れがおさまった直後の行動8ステップ』の章をご覧ください。
※沿岸部は津波、山間部は土砂崩れを警戒してください。
逃げる準備が既にできているのであれば、今すぐに家を捨てて避難することも考えましょう。
地震発生時どう行動すれば良い?
突如地震が起こった際は、自分の身を守ることを最優先に考えます。
- ガラスなど割れる物が近くにない
- 上から何も落ちてこない
- 閉じ込められない
という場所を見つけて、そこで頭を守って揺れがおさまるのを待ちます。
急に大きな地震が来て落ち着けというほうが難しいでしょうが、なるべく冷静に。
建物は築年数が古すぎたり耐震性に問題がない限りは倒壊するリスクはかなり低いと考えてOKです。(地震大国日本の建築技術は凄い。)
屋外に急いで逃げると空から瓦礫が降ってきたり、電柱が倒れてきたりすることがあります。
阪神・淡路大震災では「窒息死と圧迫死」が77%に達しており、その多くは古い木造建築家屋が倒壊して下敷きになってしまったということです。
つまり、古い木造住宅の場合は外に飛び出すのもアリだということになります。熊本地震でも急いで外に逃げた結果、家屋倒壊から逃れて助かった学生をニュースで見ました。
こういったことは家族間で話し合ってマニュアル化しておくべきでしょう。
それでは日常生活で地震が起こった際のケーススタディを見ていきます!
就寝中
寝ているときに急に起こる地震は、寝ボケていたり暗闇だったりで何が起こっているのか判断がつきません。
「とにかく揺れてる!」と思ったら、布団や枕で頭をガードします。
寝室に背の高い家具がある場合は、それが倒れても自分が潰されないスペースに瞬時に飛んでいってください。
部屋がグチャグチャになったら後で片付ければ良いので、まずは身を守ることを優先します。
料理中
キッチンは重い冷蔵庫の下敷きになったり、上の棚から物が落ちてきたり、刃物もありますので怪我をしやすい場所です。
火を使っていたとしても構わずリビングに逃げましょう。
火を消すのは揺れがおさまってからでOKです。
入浴中
バスルームは上から何も降ってこないような気がしますが、タイルが剥がれ落ちてきたり照明器具が外れて落ちてくるかもしれません。
扉を開けて避難路を確保してから、浴槽のフタや風呂桶で頭を守りましょう。
トイレ中
大便、小便いずれもトイレ中の地震は厄介ですよね。。
地震で家が傾き、トイレの扉が開かなくなる危険性があるようです。
なので、揺れたと同時にドアをバーンと開け放ってください。
洗濯物干し中
ベランダにいる場合、外に吹っ飛ばされる危険性があるため身をかがめて室内に戻ります。
そして、窓は開けっ放しで良いので窓から離れてください。
揺れが強くて身動きが取れない場合は、その場にしゃがんで手すりにつかまっていてください。
車運転中
ハザードランプを点灯し、減速して安全な場所に停車します。
カーブや橋の上は危険なので停まらないように。
コンビニやスーパーなど広い駐車場があれば入りましょう。
散歩中
高い建物や塀、窓などから離れましょう。
電柱や高圧電線が落ちてこないかにも注意を払います。
近場に公園があれば逃げ込みましょう。
都心であれば比較的新しい鉄筋ビルに逃げ込み、柱や壁付近で様子を見ます。
(最近のお洒落ビルはガラス張りが多いのでガラスからは遠ざかって。)
海辺にいる場合は津波の恐れがあるため「より高い所」に向かってください。
遠くに逃げようとしても津波は時速36キロ(オリンピック短距離ランナーの全力疾走並み)で迫ってきます。
エレベーター中
最寄りの階で停止させすぐに降りる。
現在の階から行き先の階までのボタンを全て押しましょう。
揺れがおさまった直後の行動8ステップ
大きな揺れがおさまったら、
- 部屋の電気または枕元の懐中電灯をつける(スマホのライトでもOK)
- ガラスや食器が割れて床に散乱しているようなら靴を履く
この2つの準備ができたら、以下の8ステップを焦らず実行しましょう!
1.同居人の安全を確認し一箇所に集める(所要時間:1分)
家族や誰かと一緒に住んでいる場合は、まず全員の生存を確認してください。
いつでも外に逃げられるよう着替えさせたり貴重品の準備をさせます。
もし家族が家具などに挟まって抜け出せないようでしたら、すぐに119番に連絡をして指示を仰いでください。
集まる場所は2階がオススメです。
家が倒壊した際、2階だとのし掛かってくる重量が少なく、隙間もできやすいため安全だと言われています。
しかし、素早く避難できるのは1階のリビングですよね。
現在の日本の建築技術を考えると倒壊のリスクは低いので、リビングでOKです。
背の高い家具や割れ物に注意しましょう。
2.避難経路を確保する(所要時間:1分)
- 玄関のドア
- 部屋のドア
- リビングの窓
を開けておきます。
地震によって建て付けが悪くなり、開かなくなることがあるためです。
冬場で冷気が室内に入ってくる場合は、開くかどうかだけでもチェックし鍵は開けっ放しで。
3.家を捨てて逃げるかどうか判断する(所要時間:1分)
次にこれらが来る可能性を想定します。
- 沿岸部:津波
- 山間部:土砂崩れ
- 都心部:火災
- 埋め立て地:液状化
- 全地域:余震と本震
津波と土砂崩れ、液状化は来るときは一気に来ます。(このステップを実行する段階で発生している可能性もあります。)
どれくらいの規模の災害が、いつ来るか、予測は不可能と考えてください。
東日本大震災では約1万5000人の方が亡くなられましたが、その90%は津波に飲み込まれての溺死です。
(気象庁から最初に出された津波警報は3メートルだったが実際には最高で40メートル=13〜15階建てビルほどの津波が来た。。気象庁の公式発表よりも10倍以上の規模の災害が来る可能性があるということ。)
津波は震源が海だったときに起こります。
そして、震源が陸に近いほど津波は早く陸に到達します。(1993年に起きた北海道南西沖地震では地震発生4〜5分で奥尻島と渡島半島西岸に津波が押し寄せた。)
土砂災害は、いつ起こるのか読むのが難しく、雨が降って地盤が緩くなっていると起こったりします。
僕が経験した「北海道胆振東部地震」では、死者のほとんどが一発目の地震で起きた土砂崩れにより家ごと下敷きになって亡くなられました。
地理的に津波と土砂崩れが来そうな地域は「強い揺れを感じた」ならば、警報が出る前に避難するべきです。
(東日本大震災で津波による死者が多いのは「逃げなくても大丈夫だろう」「大きな問題は起こらないだろう」と判断する人が多かったからです。これを正常性バイアスと言います。)
判断材料が欲しい場合は、テレビやラジオ、インターネットで情報を集めてください。
町中に設置してあるスピーカーから情報が流れることもあります。
自宅を放棄して避難するなら…
基本的には災害時に避難所として使われる学校や広い公園に逃げ込みます。(避難所の検索はヤフー天気・災害が便利!)
しかし、津波から逃げる場合は「高台」に逃げましょう。
いくら避難所といえども低い位置にあれば津波に飲み込まれてしまいます。
例えば、以下は北海道函館市の津波のハザードマップですが、地図左下の白色の安全エリアは夜景スポットの函館山(=高台)です。
標高の高いエリアは津波の被害に遭わないというわけです。
日本各地のハザードマップは国土交通省のサイトで検索できます。
避難する際は、
- 火災防止のためブレーカーを落とす
- 余裕があればガスの元栓を閉める
- 事前に準備していた防災グッズを持つ(懐中電灯、ラジオなど最低限)
- 閉じ込められる可能性があるのでエレベーターは使わない
- なるべく車を使わない(渋滞で緊急車両の妨げになるほか、渋滞すれば身動きが取れないことになり逃げ遅れる原因になります。田んぼだらけのど田舎であれば良いでしょうが。)
- 単独行動せず家族全員で集団行動
これらにご注意を。
当然ですが逃げた先や逃げている途中にも危険はいっぱいありますので、気を引き締めて行動しましょう。
4.浴槽に水を溜める(所要時間:作業だけなら10秒)
とりあえず自宅で様子を見ると判断したら、まずは浴槽に水を張ってください。
大きな地震の際は電気・ガス・水道といった主要インフラが停止する可能性があります。
家に留まるのであれば断水に備えて出来るだけ多くの水をストックしておく必要があるのですね。
断水時にトイレを流すのはオススメしません!!
断水時にトイレを流す方法として、バケツで便器に大量の水を注ぎ入れるという方法があるのをご存知ですか?
浴槽に溜めた水をトイレを流すのに使う人は多いです。
しかし、このやり方だと
- トイレが詰まる
- トイレが壊れる
- 排水管にダメージを与え水漏れする
可能性があるそうです。
トイレの種類によっても色々なやり方があり、説明書を熟読しないとやり方がよく分からないものもあります。
ここは潔く事前に非常用トイレを用意しておき、溜めた水は他のことに使いましょう。。
5.ガスの元栓を閉める(所要時間:10秒)
大きな地震があったらガスは自動で止まるようになっています。
しかし、ガス漏れのリスクを考えてガスの元栓を閉めて窓を開けて換気をしておきましょう。
冬場は換気扇だけでも回してください。
6.全てのライフライン停止に備える(所要時間:10分)
「北海道胆振東部地震」では北海道全域が停電しました。
人間は停電くらいで死にませんが、もし寒さの厳しい冬場に地震が起きていたらと思うとゾッとします。
今時のストーブは電気で動くものがほとんどなので、停電すると暖を取れないのです!!
津波は沿岸部、土砂崩れは山間部特有のものですが、冬場に停電すると「北海道全域で凍死リスク」があるわけです。。
電気・ガス・水道・食料といったライフラインの断絶に対しては、災害が起こる前に十分準備しておく必要があります。
生き延びられるように少しでも多く対策を打ちましょう。
- 携帯電話やモバイルバッテリーをフル充電する
- スマホを低電力モードにしたり電源を切ったりして使用を控える
- 自家用車のガソリンを満タンにする(地震発生10〜20分以内に近所のスタンドに向かえば緊急車両の妨げにならない可能性が高いです…が、非常時に備えて頻繁に給油しておくのがベストですよね。)
- スーパーやコンビニで食料を買う(災害時は買い占め厳禁!)
- ミネラルウォーターを買い溜めしておく
- カセットコンロを用意しておく
- 手回し発電または電池で動くストーブを用意しておく
など、思いつくことは無駄足になったとしてもやっておきたいですね。
停電したらこれをやろう!
すぐにブレーカーを落としましょう。
電気が復旧した際に通電火災というものが起こる可能性があります。
阪神・淡路大震災で7000棟もの住宅が焼失したそうですが、この原因の6割は通電火災でした。
他にやることは、
- 携帯電話や懐中電灯などの充電を温存する
- スマホを充電できるスポット(避難所や公共施設など)を探す
- 冷蔵庫の電気が止まるため生鮮食品や冷凍食品を保冷剤と一緒にクーラーボックスに移動する
7.さらなる揺れに備える(所要時間:10分)
大きな地震に余震は付き物です。何回も来ます。
さらに大きな地震が来ても良いように準備をしましょう。
- 倒れると危ない家具を固定するか倒す
- 高い所に置いてある物を下に降ろす
- 壁に掛けている時計などを外す
- 常時靴を履いておく
- いつでも逃げ出せるよう荷物をまとめておく
- 逃げ道の動線にある障害物を排除しておく
8.安否確認(所要時間:5分)
離れて暮らす親族や友人など大切な人へメッセージを送りましょう。
こっちは大丈夫だよという連絡と相手が大丈夫かどうかの確認ですね。
地震発生30分以内なら電話回線は混み合いにくいため電話でも良いですが、LINEやFacebookやメールで済ますのがオススメです。
電話だと長々話してしまう可能性があり、他の人の分の電話回線を圧迫してしまうのと、携帯電話の充電を無駄に消費してしまいます。
災害時のアドバイスを簡潔にメッセージしてあげましょう。
「いやぁ〜怖かったわねぇ」「愛しているよ、ハニー」といった無駄な言葉を言ってる暇があるなら、次に備えて準備したり体を休めたりすることのほうが重要です。
以上が地震が起きたときにやるべき8ステップです。
人は地面が揺れただけでは死にません。地震に伴って発生する津波や火災などの災害で死ぬのです。
地震直後ここまで準備をし、大きな揺れが来たときには避難することを徹底すれば必ず生き残ることができます!
例えライフラインが1ヶ月間復旧しなかったとしても、他の地域から救援が来るため命だけは助かります。
本当に困ったときは人や国を頼ればOKなのです。
もちろん自分たちで準備できることは事前にしておきましょう。
【注意】エコノミークラス症候群に注意してください!
エコノミークラス症候群とは、飛行機のエコノミークラスのように狭い場所で体が固定された状態で発症する症状です。
椅子に座っていると重力により足にどんどん血が溜まってしまいますが、その血が固まることで血管を塞いでしまいます。
場合によっては死に至る症状です。
特に自家用車での避難生活で窮屈にしていると起こります。
- 水分摂取
- 適度に運動する(長時間椅子に座らない)
ことで防ぐことができますので、被災したからといって塞ぎ込まないことが重要というわけです。
大災害で大切な人を亡くしたとしても、僕たちは動き続けて亡くなった人の分も生きてゆきましょう。
まとめ:結局は助け合いです!!!
今回は自分の身と家族の身を守る方法をメインに書きましたが、自分たちだけが助かれば良いという考えはよろしくありません。(映画でも自分だけ助かろうとするモブキャラから先に死んでゆく。。)
誰かを救うために自分の命を捨てなさいとまでは言いませんが、自分ができる限りの助けを施して、相手に余裕があるときに助けてもらうという格好がハッピーです。
例えば、避難所で椅子に座ってじっとしているとエコノミー症候群になってしまいますが、こういうときだからこそ助け合おうとボランティアとして動くことで良い運動になります。
エコノミー症候群も防げるし、感謝されるし、気が紛れるしってんでかなり自分自身のためにもなるわけです。
怪我した家族がいても避難所に居合わせた見ず知らずのおばあちゃんなんかが、面倒を見て助けてくれるんですよね。
なので、自分と家族がなんとしても無事に生き延びることと同時に、余裕があったらで良いので周囲の人を助けてあげることが大切です。
目の前の災害をみんなで乗り越えてゆきましょう。
さんだーでしたっ